地域と学校の連携・協働

昨今、少子高齢化や地域のつながりの減少による地域の教育力の低下や、発達障害や貧困といった福祉的な課題の増加などを背景に、学校が抱える課題が複雑化・多様化する中、学校だけではなく、社会全体で子供の育ちを支えていくことが求められています。

一方で、グローバル化、人工知能の進化などにより、変化が激しく予測困難な未来が来ることが予想されています。現在ある仕事の多くが十年後、二十年後には消滅し、子供たちの半数近くが現在存在していない職業に就くことになり、学校で教えていることが将来の社会で通用しないのではないかといった指摘がされています。

Society5.0の説明画像

2020年からの新学習指導要領では、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という理念を学校と社会が共有し社会と連携・協働しながら未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現を重視し、その理念を前文に明示しています。
この理念の実現に向けては、組織的・継続的に地域と学校が連携・協働していくことが大変重要といえます。具体的な取組としては、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)地域学校協働活動の一体的推進が重要です。

「コミュニティ・スクール」と「地域学校協働活動」の一体的推進

コミュニティ・スクール」と「地域学校協働活動」の一体的推進の説明画像
「コミュニティ・スクール」と「地域学校協働活動」の一体的推進

地域と学校の連携・協働を効果的、継続的に行うためには、学校運営協議会と地域学校協働本部、地域学校協働活動の一体的な推進が求められます。
具体的には、地域と学校が、子供たちの学びの充実のために、協議し、協働し、活動後の評価をして、また次の取組につなげていくというPDCAサイクルを回していくことが重要です。

P
Plan(計画)

学校運営協議会では、校長が作成する学校運営の基本方針の承認を通じて、学校や地域、子供たちの状況等についての必要な情報を共有します。また、子供たちや地域の未来や目の前の様々な課題について共通認識を持つために、多くの関係者による熟議の場を設定し、目標やビジョンを共有します。そして、学校と地域の協働による取組を進めるための目的・目標の設定や、効果的な手段についての協議を行います。

D
Do(実行)

学校運営協議会や熟議の内容を踏まえ、地域学校協働活動推進員等のコーディネートの下、多くの地域住民の参画による地域学校協働活動を展開します。学校の教育課程内で行う授業補助やふるさと学習、キャリア教育支援から、社会教育の取組である放課後子供教室や地域未来塾、本の読み聞かせ活動や登下校の見守りなど、多様な活動が考えられます。

C
Check(評価)

学校運営協議会が学校評価の機能を持つことで、学校の教育活動全般に対する評価に加えて、地域学校協働活動に関する評価も効果的に実施することが可能となります。教育課程に係る地域学校協働活動もあることから、それぞれの評価を切り離さず、一体的に行うことが重要です。

A
Action(改善)

評価の結果を踏まえ、次年度に向けて目的や目標を見直したり、具体的な活動の内容を工夫・修正します。また、新たな課題にどのように対応するかなど、学校運営協議会で協議し、学校の教育活動や地域学校協働活動の改善を行います。学校運営協議会からは、学校運営や教職員の任用について教育委員会に意見を申し出ることもできます。

こうしたPDCAサイクルを回すためには、校長の強いリーダーシップが求められます。
また、学校運営協議会の機能を生かして、共通の目標を設定し、組織的・継続的な体制づくりを行うことで、それぞれが持つ力を効果的に発揮することが期待できます。